2019年度 理事長所信

理事長 松永 大希

はじめに
戦後復興の奉仕活動から始まった日本青年会議所の運動は、変わりゆく時代の中で、その内容を大きく変えて来ました。それぞれの時代で人々の求めるものは変わり、それに応じて、青年会議所の運動も戦後復興の奉仕活動から、新たな社会秩序の形成、国際社会への貢献、震災等復興支援、社会企業家の育成へと変化して来ました。これは、その時代の青年たちが熱い志、創造性、柔軟性をもって「このまちのために何が出来るのか」、「自分たちには何が必要とされているのか」ということを考えて挑戦し、社会を動かしてきたからです。
藤沢青年会議所は、創立以来、地域の方々、行政をはじめとする関係諸団体からの信頼を得て青年会議所運動を展開して行くことが出来ました。これは、先輩諸氏がこのまちの将来を思い、情熱と覚悟を持って挑戦を続けて来られたからに他なりません。
信頼を得るためには長い年月を重ねた真摯な運動の継続を要します。これまでに得た信頼をさらに深めるためにも、先輩諸氏の情熱と覚悟を受け継ぎ、変わりゆく時代に取り残されることなく適合し地域から真に必要とされる組織としての運動展開を推し進めて参ります。

このまちの魅力を次代へ紡ぐ
2015年9月の国連サミットにおいて「SDGs」、持続可能な開発目標が採択されました。SDGsの17の目標について、たとえば、「住み続けられるまちづくりを」等の目標を選定し私たち自身の目標を定めて推進するとともに、地域特性に合致した持続可能な社会基盤の形成を目指して参ります。
東京オリンピック・パラリンピックが2020年に開催され、江の島ではセーリング競技が行われます。このことは、他の地域と比較した藤沢の大きな強みであり、オリンピックをきっかけとした「まちづくり」運動は、藤沢の発展の大きな契機となります。このような運動を展開する前提として、このまちの自然、歴史、産業、文化、市民性を理解することも欠かすことは出来ません。そして、オリンピックが開催された後の、このまちの光景、このまちに住み暮らし、働く人々の笑顔を想像しながら運動を展開する。住みやすく、働きやすいまちを目指したまちづくりは、藤沢の地域特性に見合った持続可能な社会基盤の形成に繋がります。このまちの良さを活かしながら、新たな魅力を創出する。そのことによって、このまちに笑顔が溢れ、10年20年後も発展を続け、人を惹きつけてやまないまちであり続けることが出来ます。
その実現のために、地域の先頭に立って、藤沢に住み暮らし、働く人々に対して意識変革を投げかけ、時には行政や関係諸団体とも連携を図りながら、地域社会をより良くするために多くの人々を巻き込んだ運動を展開して参ります。

子どもたちが夢を語れる社会へ
地域の子どもたちは、地域の宝です。地域の子どもたち一人ひとりの笑顔が輝く地域こそが、持続可能な発展を遂げることが出来る社会だと考えます。そのために子どもたちの健全な成長を促すことは、このまちに住み暮らし働く、私たち責任世代の責務です。
一方で、様々な要因の下、子どもたちを取り巻く社会情勢は目まぐるしく変容しています。しかしながら、このような時代だからこそ、健全な成長を阻害する要因を探り、取り除くことに終始するのではなく、積極的に、夢と希望を実感してもらえる機会を提供していかなければなりません。学びの機会は、家庭、学校、地域社会と様々です。地域の繋がりが希薄化したと言われる現代において、自然と触れ合い、地域の大人との触れ合いを通じて道徳心を醸成する機会は決して十分ではありません。少年少女時代の貴重な体験によって得た学びは、必ずや、強烈な原体験となり、その後の人生の糧となります。子どもたちが笑顔で夢を語る姿を見て、大人たちは自分自身を律するとともに夢を持つ大切さを再認識します。大人たちが子どもたちに夢を持つ大切さを説くことで、子どもたちは自信を持って夢を語り、行動を始めます。この好循環を創出することこそが青年会議所に求められていることと言えます。
そのために、子どもたちが夢と希望を実感することが出来る機会を提供するとともに、大人たちも夢と希望を持ち続けることの大切さを再認識することが出来るようになる運動を展開して参ります。

組織の魅力創出と会員拡大
藤沢市の人口は43万人を超えていますが、人口に対する会員数は決して満足が出来るものではありません。青年会議所は単年度制であり、卒業という制度があります。毎年、多くの新入会員を迎え入れることで組織が活性化し、藤沢青年会議所の良き伝統を失うことなく新たな挑戦を行うことへ繋がり、組織の持続可能な発展に寄与します。会員拡大は、藤沢青年会議所が抱える重大な責務です。限られたメンバーによる会員拡大活動に頼るのではなく、組織が一体となって会員拡大運動に取り組まなければなりません。
私自身、青年会議所に入会してから、一生の仲間と言うべき多くの仲間に出会いました。そして、多くの成長の機会を与えて頂きました。青年会議所に入会しなければ、決して得ることが出来ないであろう貴重な経験を、より多くのメンバーにも体感して頂きたいと考えています。メンバー一人ひとりが、藤沢青年会議所の運動に誇りと矜持を持って、より多くの人々に伝播して頂きたいと考える次第です。
決して、自己満足の活動に終始するのではなく、「なぜ、青年会議所運動を行うのか」という原点に立ち返り、自分たちの運動が魅力的に映ること、そして、青年会議所活動を行うメンバー一人ひとりが笑顔で輝くこと、これらのことを実践し、組織の魅力を創出し、このまちに関わる多くの青年経済人を惹きつけて止まない組織へと発展を遂げることに繋がります。

地域の若きリーダーの育成
藤沢青年会議所のメンバーの大半は、入会年数が3年未満です。入会から卒業までの在籍年数も短い中で、青年会議所運動の本質を連綿と受け継ぐことに困難が伴うことがあるという現状に目を背けることは出来ません。
メンバー一人ひとりがJAYCEEとして地域の若きリーダーへと変革を遂げることで、より大きな運動を一丸となって展開することが可能となります。各々が、「青年会議所が行わなければならないこと」、「青年会議所でなければ行うことが出来ないこと」をしっかりと意識することで、力強い人財へと成長を遂げ、一人ひとりのJC活動が、「明るい豊かな社会の実現」という崇高な理念の下、結集し、より影響力の大きなJC運動へと昇華します。そのための研修や学びの機会を積極的に実現しJAYCEEとしての成長を促します。一人の成長に他のメンバーも感化され、組織全体としての成長を遂げることが出来ます。そして、メンバー一人ひとりが力強い人財へと成長を遂げることは更に次の世代の人財を育成することにも繋がります。
目先の組織運営のみに目を奪われるのではなく、5年後の藤沢青年会議所を誰が支えるのか、10年20年後のこのまちのリーダーはどうあるべきか。このようなことをしっかりと見据え、新入会員を地域の若きリーダーへと育成する視点を持ち、実践して参ります。

何事にも揺らがない盤石な組織
盤石な基盤を欠く組織は脆弱であり、脆弱な組織では、組織が進むべき方向性は揺らいでしまいます。藤沢青年会議所がこのまちに対して影響力を持った運動を一貫して展開するためには組織の堅固な基盤を維持することが必要です。そのためには、ルールを決めること、決められたルールを守ることも大切ではありますが、最も大切なことは、組織を構成するメンバーそれぞれが同じ目標のもと、協力し合える組織であり続けることです。
決して外部から押し付けられるのではなく、自分自身の役割を前提として、自らが自らを律することで組織としての信頼を勝ち取ることが出来ます。入会に至る動機、入会までに培ってきた経験は各々のメンバーにより様々です。これらの多様な個性が融和し、個々の創造性、柔軟性を最大限に活かしながら、全員が目標を同じくする組織の構築を目指して参ります。
メンバー一人ひとりの意識が高まれば、JC運動を展開するための組織力が向上します。組織力が向上すれば、地域により大きな影響力を与えることが出来るJC運動を展開することが出来ます。そうすれば、明るい豊かな社会の実現に一層近付くことが出来ます。

むすび
青年会議所は「明るい豊かな社会の実現」を崇高な理念に掲げて運動を展開しています。皆さんが描く「明るい豊かな社会」とは、どのような社会でしょうか。私は、このまちに住み暮らし、そして、働く人々が笑顔で過ごすことが出来る社会であると考えています。「明るい豊かな社会の実現」のためには、時として幾多の困難を乗り越えなければなりません。
このまちのために、このまちの子どもたちのために、そして、自分自身のみならず他のメンバーのために行動し、挑戦を継続して参りましょう。一人では乗り越えることが出来ない困難であっても、友情を育んだ仲間とともに挑戦を行うことで、乗り越えることが出来ます。困難を乗り越えた先には、必ずや、明るい豊かな社会の実現があります。友情を育んだ仲間とともに粘り強く活動する。仲間との挑戦には労を惜しまない。そして、挑戦を乗り越えた仲間と共に達成の喜びを分かち合います。私自身が情熱と覚悟を持って挑戦をし、メンバーの先頭にたって一年間継続して体現して参ります。
以上のことをお誓い申し上げ、一般社団法人藤沢青年会議所 2019年度理事長としての所信とさせて頂きます。

基本理念

「雲外蒼天」

~情熱と覚悟を持って挑戦し、未来を創造する~

基本方針

・次代へ紡ぐこのまちの魅力創出への挑戦
・ともに経験をし、ともに学び、ともに夢を描く
・つながりから始まる会員拡大そして仲間との成長
・決して揺らぐ事の無い盤石な組織へ
・失敗を恐れず挑戦できる真のリーダー育成